コラム
Column

地域女性活躍推進交付金について

子育てや介護、転勤や離婚など働くことに何かとリスクが多い女性にとって、デジタルスキルを習得することは、働き方を自由にしたり生活に余裕が生まれたりと「生きる希望」に繋がります。
それは、私自身がシングルマザーで28歳で起業し、ここまで生きてこられたのはデジタルスキルのおかげだと実感しているからです。

コロナを機に「おしごとハブ」をスタート

コロナで世の中が激変し、まわりでも職に困る人が出始めました。今後ますます収入格差が広がり、路頭に迷う親子が増えるのではないか。
何が出来るかわからないがとにかくやってみようと、2021年にスーパー2階に場所を借り、女性のデジタル人材育成拠点「おしごとハブ」と命名。月に4回デジタル座談会を開催しました。口コミで参加者が増え、のべ60人ほど参加。実際のお仕事もお願いして制作費をお支払いしたりもしました。2年経過した今、「おしごとハブに仕事を依頼したい」というクライアントや、自身で仕事を受託できるメンバーも増えてきました。今年からは一期生を中心にセミナーを開始し、より多くの方のスキル習得支援が出来るよう活動を広げています。手探りの2年間でしたが、何より、皆さんの表情がどんどんイキイキと自信に実てくる様子を見て、この取り組みは間違っていない、その手ごたえはしっかり得ることが出来ました。

さらなるステップを模索する日々

2年間、自主財源で実験的に取り組んできました。民間の力でやる覚悟でしたし、実績を積んでから、行政の施策が何か活用できればと思っていました。
「おしごとハブ」の活動が進むにつれ、認知度がアップし、さらなる人材育成や、創業相談、キャリア相談の窓口を求める声が増えてきました。ありがたいことなのですが、公的な役割が増えてくることや、人材育成と売上の収支バランスを取ることに時間もかかることから、自主財源だけで運営するのには限界があります。デジタル庁や内閣府などの施策や休眠預金など、活用できるものがないかというアンテナは常に張っていました。

地域女性活躍推進交付金「デジタル人材・起業家育成支援型」

そんな中、内閣府の地域女性活躍推進交付金の「デジタル人材・起業家育成支援型」の補助率が4分の3に拡充されました。(令和4年度補正)

この交付金は以前からあるものですが、今後の「デジタル人材育成や女性創業支援」の必要性がますます高まるだろうという趣旨で拡充されたものです。宮崎県では都城市が以前からこの交付金を活用した事業を実施しています。

宮崎市議会でも同年夏に「女性デジタル人材育成プラン」の強化を求めた意見書を議会に提出しています。全国議会で一斉に出したものかもしれませんが、市議会を通したものであることは確か。そして、その意見書が通った形になっているわけです。
(ただ、市の担当の方はご存じなかったです)

国の交付金ってなに?

国の交付金は一般市民が手を挙げれるものではなく、自治体が企画し予算組みして議会通過した事業であることが前提とのこと。私も交付金について無知だったので宮崎市の方とお話して学ばせてもらいました。

最初に宮崎市担当課の方と面談した2022年12月~1月は、

  • 交付金締切まで時間が無さすぎるので難しい。
  • もともと予算化してある事業でないとダメ。補正でもダメ。
  • 4分の1は市の予算から出す必要がある。実施団体の負担はダメ。
  • 企業の人手不足対策のほうが優先。
  • 今は就職難ではないのでスキルアップ支援は必要か?
  • 女性の副業、創業のニーズがあるのか?データが無い。

などが担当課からの意見でした。(この時は、デジタル庁の交付金も合わせて協議)
交付金の利用は簡単なもんじゃない、ということは重々わかりました。ただ、私たちの事業のためじゃなくてもいいのです。国全体で「新しい働き方の副業、創業支援」「デジタル人材育成支援」が始まっているのに、必要性の認識が無いことがとても残念に感じました。

その後の経緯 2023年度はどうなった?

2022年度の際は、私も交付金について無知でしたし、担当者の方も模索はしてくれましたが「準備期間がない」というのが1番大きな理由でした。
その後、次の担当者へ引き継ぎをしていただいたみたいで、新しい担当の方から「話を聞かせてください」とお声かけいただきました。前回で気持ちが折れていたので、行政予算はもういいかなと思っていたのですが、話を聞いていただける機会は嬉しいので、もちろん参上します。

2023年の春と夏に合計2回で5時間くらいヒアリングを受けて、一生懸命にお伝えをさせてもらいました。大変誠実に聞いてはいただいたのですが、そもそもの必要性、効果についてどうも描けない感じを受けました。それでも、施策にできるか検討してみます、とのこと。その後、特に連絡はなく、忘れた頃に電話で「やっぱり難しかったです」とひとこと。

一応、「理由はなんですか?」とは聞いてみましたが「この事業には連携が必要で、、、連携するには時間が足りなくて、、、」などなどと言われておりましたが、そのような打診も無かったのですが・・まあ、こんなものですね。国が4分の3を負担し、ぜひ活用したい交付金があっても、自治体が「その気」になって手を挙げない限り、1市民の力では本当にどうしようもないことを、実感した体験でした。

未来へ

地域の課題を地域で解決する仕組みをつくる、ということも「おしごとハブ」の目的のひとつです。「ちょっとチラシを作ってほしい」「店のインスタをサポートしてほしい」など、事業者さんのお困りごとを(休眠人材である)女性達が広報人材として担っていく。この事業モデルは絶対に必要であり、未来の地域のための仕組みになるという信念はずっと変わっていません。この2年で実証も行い、確かな実績も出してまいりました。
宮崎で「おしごとハブ」モデルをさらに完成させ、全国へ展開していくこと。この歩みはこれからも進めてまいります。

柳本明子
柳本 2022/12/01
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